ヘアドネーションとは、髪の毛の寄付のこと。
病気の子供たちのための医療ウィッグを作ります。
ヘアドネーション(Hair Donation)とは、小児がんや白血病などの病気、不慮の事故等で髪の毛を失った子どもたちに対し、医療用ウィッグを無償で提供する活動のこと。ヘアドネーションによる医療用ウィッグは100%人毛でできているため、見た目や質感がとても自然。髪の毛がないことで「人に会うのが恥ずかしい」「学校へ行きにくい」といった悩みを抱える子どもたちの社会復帰を手助けする、重要なアイテムとなっています。
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ヘアドネーションはアメリカの団体Locks of Loveなどが行っていた活動で、日本では2009年に国内初のヘアドネーション団体であるNPO法人Japan Hair Donation&Charity(JHD&C)が発足。現在ではJHD&Cのほか、NPO法人HERO、株式会社グローウィング つな髪プロジェクトという3団体が日本でヘアドネーションを主催しており、それぞれが活動を進めています。ヘアドネーションとひと口に言っても、それぞれの団体で寄付できる髪の長さや質などの条件が異なるため、詳しい内容をしっかりチェックしておきましょう。
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ヘアドネーションは、ただ単に伸ばした髪を切って送ればいいというものではありません。
いくつかの条件を満たす必要がありますが、基本的な条件は「31cm以上の長さがある」「髪が完全に乾いている」こと。カラーリングやパーマをしていたり、白髪・くせ毛といった方でもヘアドネーションに参加できますが、このあたりの条件は各団体によって異なりますので、注意が必要です。
条件を満たしたらヘアドネーション団体の賛同サロンへ行き、髪をカットしてもらいましょう。 -
ヘアドネーション用のカットは一般の美容院でも受けられますが、各団体の賛同サロンであれば基本的に0円でカットを受けられます。その他にかかる料金は、ドネーションカット後のヘアスタイルの調整代です。これは、各サロンの正規のカット代が必要になると考えてよいでしょう。あとは、髪の毛を送るための封筒代や、郵送代が必要となります。団体によっては受領証などを送ってくれるケースもあるため、必要であれば返信用の封筒と切手を購入します。
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ヘアドネーションに適した髪質は、寄付をする団体によって条件が異なります。たとえばカラーをしている髪の毛は3団体とも受付をしていますが、色素を抜くブリーチヘアの受付をしているのはJHD&CとHEROのみ。
ただし、軽く引っ張った程度で切れてしまうようなダメージヘアは不可となっています。自分の髪質がヘアドネーションに向いているかどうか分からないときは、賛同サロンで相談してみるとよいでしょう。 -
ドネーションカットで髪の毛をバッサリ切った後は、好みのヘアスタイルに整えてもらえばOK。ヘアスタイルの主な選択肢として挙げられるのは、ボブ・ショートボブ・ショートカット。「これしか選べないの?」と思うかもしれませんが、どのスタイルでもカットの仕方・デザイン・パーマの有無によって、さまざまなイメージに仕上げることができます。事前になりたいヘアスタイルを決めておくとドネーションカットがスムーズに行えるので、情報を集めておくとよいでしょう。
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ヘアドネーションを主催する団体へ届けられた髪の毛は、長さや髪色ごとに分けられ、海外にある専門の工場へ送られます。工場に送られた髪の毛は、キューティクルの除去・染毛・脱水・乾燥・梳毛(そもう)・仕分けといった工程を経て、医療用ウィッグの素材へと生まれ変わるのです。
その後、申し込みがあった子どもの頭のサイズを測り、オーダーメイドの医療用ウィッグを作製。完成後、子どもたちのもとへと無償で贈られます。 -
ヘアドネーションでできる医療用ウィッグは髪の長さによって作れる種類が異なります。15cm以上31cm未満の髪でできるのは、頭頂部に植毛をしない髪の毛つきインナーキャップウィッグ。頭頂部は帽子をかぶって隠します。頭頂部まで植毛されているフルウィッグを作るには31cm以上の髪の毛が必要。特にニーズの高いロングヘアのフルウィッグには50cm以上の長さが必要ですが、この長さの寄付は数が少なく、とても貴重となっています。
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ヘアドネーションに性別は関係ないため、男性でももちろん活動に参加できます。ヘアドネーションに参加した男性の体験談などを見ると、アーティストやフリーランスといった、比較的髪型に自由がきく職業の人が多いようです。
小学生や中学生の男の子でも参加を希望する子がいますが、場合によっては校則などで髪を伸ばすのが難しい…といったケースも見られます。その場合の対処法なども説明します。 -
ヘアドネーションには年齢制限がないため、何歳からでも活動に参加できます。子どもの場合、七五三まで伸ばした髪をイベント後に寄付したり、夏休みの自由研究や家庭科等の自由課題に選ぶケースが多いようです。こういったボランティアに参加するのはとても歓迎すべきことですが、髪を伸ばすには約3年と長い時間がかかるため、大人がきちんとした知識のもとでサポートをしてあげることが重要です。